前回のエントリーではスキーマ療法において今後の進め方の
- 安全なイメージ作り
- これまで生きてきた道のりを振り返る
の2つのワークについてお伝えしました。今回からはスキーマ療法ワークブックのBook2に移り、レッスン11の不適応的スキーを理解する、レッスン12の自分にどの早期不適応的スキーマがあるかを理解する、の2つについてお伝えします。(特にレッスン12はボリューム満点で、いよいよ来たか!っという感じです。)
中核的感情欲求の紹介
「傷つき体験」とはどのようにしてできるのか。それを理解するために、ヤング先生は以下5つの欲求が「子供が養育者に対して持って当然のごく正当な欲求」として中核的感情欲求と定義しているようです。以下ワークブックの紹介をそのまま引用します。
- 愛してもらたい。守ってもらいたい。理解してもらいたい。
- 有能な人間になりたい。いろんなことがうまくできるようになりたい。
- 自分の感情や思いを自由に表現したい。自分の意思を大切にしたい。
- 自由にのびのびと動きたい。楽しく遊びたい。生き生きと楽しみたい。
- 自律性のある人間になりたい。ある程度自分をコントロールできるようになりたい。
これら5つの欲求が子ども時代に満たされると精神的に健康的な大人に育てるようです。逆にこの5つの中核的欲求が何らかの形で阻害されることで「傷つき体験」となるようです。
早期不適応的スキーマができる要因1:傷つき体験
実はこの「傷つき体験」は多かれ少なかれ子ども時代には誰しもがあるのですが、その傷つき体験があまりにも大きかった場合、または小さくても何度も繰り返して傷つき体験を重ねてしまうと早期不適応的スキーマが形成されてしまうようです。
そしてヤング先生が提唱する早期不適応的スキーマは18もの種類があるのですが、この18種類のスキーマは各5つの中核的感情欲求が満たされないケースに分類できるようです。
早期不適応的スキーマができる要因2:生得的特徴
またワークブックでは傷つき体験とは別に、早期不適応的スキーマに影響を与える要因として、生まれ持った特徴も挙げられていました。
これを読んで私は「本当それ!!生まれもった性質も絶対影響するよね!!」と思いました。こっぴどく叱られてもヘラヘラしている子どもとかもいるし、逆にすぐ傷ついちゃうナイーブな子もいるし、同じ程度に「叱られる」経験をしていたとしても、子どもの性格・資質によってそれが傷つき体験になるかどうかは本当に子ども次第なのではと感じていたからです。
というのも、他の人と比較して、いつまでも過去の挫折体験を引きずっている自分は気にし過ぎじゃないか、とも感じていたからです。(そしてそんな過去のことをいつまでもくよくよ引きずってる自分、引きずってんなよ!ってまたこれが自分を責める理由にもなるわけですが)
だから生得的特徴が早期不適応的スキーマに影響を与える、と聞いてとても納得しました。
傷つき体験を書き出す
レッスン12のワークはまず傷つき体験を自由形式で書き出すワークから始まります。ワークブックの例では年表のように出来事と体験を分けて書く例も紹介されていましたが、私はシンプルに箇条書きで出来事と体験をまとめて書き出しました。
前回年表を作成していたので、思い出す作業はほとんど必要なく、その年表で書き出した出来事・体験の中から「これは傷つき体験だな」と思うものをピックアップして改めて書き出しました。
年表作りの時点で一先ずその時の体験の痛みは感じていたからか、改めて傷つき体験として書き出す時は年表作成の時ほど辛くはありませんでした。
満たされなかった中核的感情欲求を書き出す
2番目のワークは中核的感情欲求の説明を読んで、自分の中でどのような中核的感情欲求が満たされなかったか、自由形式で書くワークです。
先ほど書き出した傷つき体験を踏まえて、各中核的感情欲求でどのような欲求が満たされなかったのかを書き出します。
私の場合は、5の「自律性のある人間になりたい〜」以外はあまり満たされていないのではと感じました。以下、今後スキーマ療法でこれらの満たされなかった欲求、スキーマがどう改善していくかこのブログで変化を書いていくためにも、私が外在化したものを紹介します。
- 1に関しては「理解してもらいたい」の部分が満たされていないのでは。「頭ごなしに批判される」「感情的に否定される」「価値観を押し付けられる」のをものすごく嫌悪するところからもそう感じる
- 2の「有能な人間になりたい」についても、全力を尽くしても得たい結果が得られなかった、自分よりも頑張ってない人の方がいい結果を得ている、数々の挫折経験から自尊心が著しく傷つけられて満たされていなさそう
- 3に関しても「自分の感情や思いを自由に表現」という部分が欠けていると思う。普段圧倒的に無口だし、感情表現に乏しいとよく言われる。得に悔しい感情を溜め込み怒りを素直に表現するのが苦手。(注:このブログを書く時は意図的に感情表現を出そうとしています)
- 4に関しては「自由にのびのびと」という部分は、小学生頃までは満たされていたと思うが、やはり高校受験以降は「がんばって何かをする」というモードに常になっており、何かに駆り立てるように生きてきたと感じる。常に「楽しく遊ぶ」「生き生きと楽しむ」余裕がない感じ
- 5に関してだけは異様に満たされている?長けているように思う。挫折体験で「できない自分」を変えようと、ずーっと自分を律して変えようとしてきたからだと思う。ただ幼少時から多かった忘れ物・落し物・忘れ事は大人になって散々チェックする癖をつけてきたにも関わらず、油断すると速攻で同症状が出る。そういった点ではコントロールができてるとは言い難い
生まれ持った特徴を書き出す
早期不適応的スキーマは生得的特徴も影響するということで、生まれ持った特徴についても外在化します。こちらも年表を参考にしながら、また過去/現在の友人と自分を比較しながら自分の生得的特徴を書き出しました。
- ものすごく素直でいい子。逆に大人が言うことに理解を示したがる
- 何か不満があっても言い返さず、悔しさ・怒りを内に溜める傾向がある
- すごくシャイで近所の人もあいさつせずに避けてた
- 見た目がとっつきにくく、怒り顔
- 繊細で感受性が豊か!?(自分では言い切れない笑)
- 友達とやんちゃして遊ぶよりも一人で何か黙々と作ることの方が好き
早期不適応的スキーマに何パーセントそのスキーマがあるか数字をつけてみる
18の早期不適応的スキーマの説明を読みながら、そのスキーマが何パーセントの割合で自分の中にありそうか、主観的に数字をつけていくワークです。
これがやってみて意外だったのが、先ほど紹介した満たされなかった中核的感情欲求で書き出した自分なりの分析と、この数字が思いの外に一致しなかった点でした。
というのは18の早期不適応的スキーマは5つの満たされない中核的感情欲求に分類できるのですが、自分が思ったよりも満たされてるスキーマもあり、案外満たされてるスキーマもあるんだな、という発見もありました。
もう一つ衝撃的だったのが、第4領域の早期不適応的スキーマが全滅だったこと!!
全滅という意味は、この第4領域に属する各スキーマが90〜100%の割合で、「当てはまる。。これめっちゃ自分に当てはまってる!!!」ということです。もちろんその外にも当てはまるスキーマはあったのですが、第4領域は極めて高い割合で自分の中にあるなーと実感しました。
以下、私の場合の割合です。(0%のスキーマについては省略しています)
領域 | スキーマの名前 | スキーマの強度 |
第一領域のスキーマ | 欠陥・恥スキーマ 孤立スキーマ |
40% 30% |
第二領域のスキーマ | 無能・依存スキーマ 失敗スキーマ |
20% 40% |
第三領域のスキーマ | 「ほめられたい」「評価されたい」スキーマ | 50% |
第四領域のスキーマ | 感情抑制スキーマ 否定・悲観スキーマ 完璧主義的「べき」スキーマ 「できなければ罰されるべき」スキーマ |
90% 100% 100% 95% |
第五領域のスキーマ | 「オレ様・承応様」スキーマ | 10% |
スキーマ療法の目的はスキーマを完全になくすことではない
ここでレッスン12の最後の言葉がスキーマ療法の考え方として重要そうだ、と思ったので引用しておきます。
スキーマ療法の目的は、これらのスキーマを完全になくすことではなく、自分のスキーマが活性化されたときにリアルタイムで気づき、その影響力を弱めることです。さらに、自分を生きやすくさせてくれる新たなスキーマ(ハッピースキーマ)を作り、古いスキーマ(早期不適応的スキーマ)を手放していくことです。
これを読んで、「なんだー根こそぎ早期不適応的スキーマが取れるわけではないんだぁ。」と少し落胆することがあるかもしれませんが、それでも、今よりもよくなるのであれば、スキーマ療法に取り組む価値があるのではと感じました。
また、完全に早期不適応的スキーマがなくならない!!っと思いそうになるのも、上記のスキーマ療法の目的を念頭に置いておけば、「いや違う違う、目的はそこじゃない。古いスキーマを手放してハッピースキーマを手にいれる、定着させることだ。」と今後起こりそうな勘違いを防げるとも思いました。
以上、レッスン12についてでした。
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