傷ついた子どもモードとのモードワークをやってみて

mode-work スキーマ療法

スキーマ療法ワークブックBook2の今回はモードワークをについてです。

モードって何だったけ?という方のために(自分のためにも)まずモードとは何ぞや?というところから復習したいと思います。モードとは、

今・ここの状態や反応のこと

でした。

同じ状況でも持っている早期不適応的スキーマによって、反応や思うことが人によって違うのでした。(どう違うかは「モードアプローチでモートマップを描いてみる」という回で具体例を挙げて説明しました。)また、コーピングによってもモードが変わってくるのでした。

そして、モードには4つの種類がありました。

  • 傷ついた子どもモード
  • 傷つける大人モード
  • いただけない対処モード
  • ヘルシーモード

この4つのモードを基に

何らかの早期不適応的スキーマが活性化され、自分がある状態に陥っているとき、それがどのモードにであるかに気づき、適切な対応をして自分を助ける

というのがモードを使ったモードワークの目的になります。

スキーマ療法のモードワークとは

スキーマ療法におけるモードワークとは

モードワークでもスキーマワークと同じように「対話のワーク」を行います。モードワークの場合は、対話をするのは、「ヘルシーな大人モード」と早期不適応的スキーマによって作られる「様々なスキーマモード」(傷ついた子どもモード、傷つける大人モード、いただけない対処モード)の全てです。

ワークブックの説明では、

「ヘルシーな大人モード」のイメージをまず最初に作ります。そして「今・ここ」に出てきたそれぞれのスキーマモードに気づいたうえで、それらのモードと「ヘルシーな大人モード」が対話をして、あなたをハッピーにする方向に、それらのモードを導いていきます。

と書かれています。

対話する上でのやり方は、スキーマワークと同じように、頭の中で「ヘルシーな大人モード」と「スキーマモード」を分けて対話を行う、もしくは椅子を置いて、その椅子の上に「スキーマモード」に陥っている自分を座らせて(座らせているのを想像して)対話をします。

このモードワークを含むモードアプローチはその効果から世界中で注目されているようで、伊藤絵美先生も

私自身も、自分自身でモードワークを行いますし、カウンセリングを通じて多くの当事者の方にモードワークをご紹介してきましたが、これが大変おもしろく、とっても効果的

と述べています。モードワークに対するやる気と興味が俄然湧いてきました。

モードワークはまず「ヘルシーな大人モード」のイメージ作りから

モードワークでの対話のワークを始めるにあたって、まず「ヘルシーな大人モード」のイメージ作りをします。ヘルシーな大人モードは、

絶対的にあなたの味方

という存在です。そのような存在がどのような人か(どのようなイメージであれば「ヘルシーな大人モード」に値する人物か)具体的にイメージしていきます。

私の場合は、スキーマワークで作ったハッピースキーマを基に、さらに自分が理想とする人、憧れとする人のイメージを付け足して、ヘルシーな大人モードのイメージとしました。

ワークブックでは様々なヘルシーな大人モードの具体例が紹介されていて、ユニークなものではアニメのキャラクターやお地蔵さんのイメージなども含まれていました。

そしてもちろん、ヘルシーな大人モードも外在化、紙に書き出します。外在化に決まった形はなく、ヘルシーな大人モードのポイントを箇条書きしてもいいし、それぞれのポイントを囲ってイメージ図にしたものでもいいようです。

傷ついた子どもモードとの対話のワーク

まず「傷ついた子どもモード」と「ヘルシーな大人モード」との対話のワークです。傷ついた子どもモードと言っても、いろんなモードがあると思います。対話のワークを始める前にまずどの「子どもモード」なのか、具体的にしてからワークを行います。具体的にするということは、「傷ついた子どもモード」に名前をつけておきます。

ワークブックの例を紹介しますと、

  • 自分なんかいないほうがいいと感じている子どもモード
  • 「ごめんなさい」「ごめんなさい」とひたすら謝っている子どもモード
  • 傷ついてかんしゃくを起こしている子どもモード

このように傷ついた子どもモードに名前をつけて、他の子どもモードとごちゃごちゃにならないようにしてから対話のワークを行います。

傷ついた子どもモードとの対話のワークの目的

傷ついた子どもモードとの対話のワークでは、その目的を確認しておくと対話のワークがスムーズにできると感じ、ワークブックで紹介されていた目的のところには全てマーカーを引きました!

  • 傷ついた子どもモードとの対話のワークでは、とにかく傷ついた子どもモードのありのままの感情を吐き出してもらい、それを批判・非難せずに受け止め、受け入れる
  • 今までどれだけ辛い思いをしてきたか、どう傷ついてきたか、その思いに対して共感した上で、「本当はどうしてほしいのか」「本当はどうしてもらいたいのか」ということを尋ねることで、どのような中核的感情欲求が満たされていないのかを聞き出す。
  • そしてその中核的感情欲求を対話を通して満たそうとする。満たそうとした結果、「傷ついた子どもモード」に感情の変化があったかを尋ねる。
  • これからも「傷ついた子どもモード」の側には「ヘルシーな大人モード」がいつでもいることを伝え、安心してもらう。

このような目的に沿って、傷ついた子どもモードとの対話をしていきます。

(この記事で全てを説明するのは無理があるので、詳しくはワークブックを確認していただければと思います。)

傷ついた子どもモードとの対話のワーク

傷ついた子どもモードとの対話のワークをやってみて

ワークブックには傷ついた子どもモードとの対話例が3つ載っていたので、その例を参考にしながら、「こんな感じでいいのかなー?」と思いつつ行っていきました。

一つ私の傷ついた子どもモードを紹介すると、「自分は悪くないのに感情的に叱られて傷ついた子どもモード」です。

外在化することでどのような感情欲求があるのかわかった

「自分は悪くないのに感情的に叱られて傷ついた子どもモード」との対話のワークを行ったところ、様々な感情が思い出されました。

理不尽に感情的に怒られて悔しかったこと、その悔しさから「絶対に子どもの気持ちを大人になっても忘れない」と思っていたこと。

「大人って本当に大人の都合ばかりで子どものことなんて考えてない、大人は自分が間違ってても絶対に非を認めない」と感じ、傷ついた子どもがそこにはいました。

大人も完璧ではないし感情的につい怒ってしまうこともある、もしかしたらその時の子どもから見たら理不尽に感じられたかもしれないけど、実際は叱られて当たり前の状態だったかもしれない(もしくは実際に理不尽だったかもしれない)、と今であれば冷静に思えます。そして、その原因究明をしたとしても解決にはならないのではないかと感じていました。

そしてそれは実際に原因を救命しても解決しないと思います。そのような「だから自分はこうなってしまったんだ!全ては親の責任だ!」と言っていても、そこで自分の成長は止まってしまいます。そんな自分を変えていきたいのであれば、理性で「だからダメなんだよ」と頭ごなしに言いつけるわけではなく(それこそが傷つける大人モードですが)、しっかりと「傷ついた子どもモード」に共感して、満たされていない感情に理解を示すのが大事なんだなぁと感じました。

なんだか長年積もっていたわだかまりが溶けそうです。

一回ワークをするだけでも、同じ子どもモードが出てきた時にすぐ対応できるようになる

一度対話して外在化した「傷ついた子どもモード」は、その後別のところで出てきても、「ヘルシーな大人モード」で適切に対応することができるようになりました。

これは、「マインドフルにモニタリングする」の回でついついスキーマに乗っ取られてしまう時と比べれば素晴らしい進歩!!もちろん、あれからマインドフルにスキーマを見つめる練習も生活する中でたくさんやりましたし、その分スキーマからに乗っ取られずに一歩離れて冷静に見つめることができるようになったことも貢献していると思います。

マインドフルにスキーマを見つめ、さらにヘルシーな大人モードで優しく共感してあげて、適切な方向に導いていく、同時にハッピースキーマをどんどん自分のものとして身につけていく。(というか、ヘルシーな大人モードこそがハッピースキーマなので、既にその時点でハッピースキーマとして生きていることになるのですが。)どんどんとハッピースキーマとして生きていくことができそうです。

ただこれも浮き沈みの波があるかもしれないし、状況によっては強くスキーマが引き出されて一瞬にして乗っ取られてしまうこともあるかもしれません。引き続き継続していきたいと思います。

と締めに入ってしまいましたが、まだ「傷つける大人モード」と「いただけない対処モード」との対話のワークが残っていました。「傷ついた子どもモード」とのワークについてで少し長くなってしまったため、次回「傷つける大人モード」とのワークについて書いていきたいと思います。

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