スキーマ療法ワークブックのレッスン13では新たに「モードアプローチ」という、早期不適的スキーマとはまた別の考え方についてです。
レッスン11の冒頭で示されていたのですが、スキーマ療法では以下2つのステップを踏みます。
自らのスキーマを、スキーマ療法のモデルを使って観察し、理解する
→
自分を苦しめるスキーマを手放し、新たなスキーマを手にいれる
なんですが、この最初の1ステップ目には2種類あるようです。1つが前回紹介した早期不適応的スキーマ、もう一つが「モードアプローチ」と呼ばれるものです。
これはヤング先生が人によっては全ての早期不適応的スキーマを持つ人もおり、スキーマという視点からだと数が多すぎて理解が難しいことがあり、そこから別の「モードアプローチ」という手法を開発されたようです。
「今・ここ」の自分がどうなってしまっているのか、ということをリアルタイムに理解するためには、モードアプローチの方が役に立つかもしれない。
と伊藤絵美先生も述べています。
モードアプローチのモードとは
このモードアプローチのモードとはどのようなものでしょうか。以下ワークブックを基に説明していきます。
モードとは「今・ここ」の状態や反応
モードとは、簡単に言えば「『今・ここ』の状態や反応のこと」私たちは、生きている限り、刻一刻と様々な状態になり、様々な反応を示します。その刻一刻と移り変わるその時々の状態や反応のことを「モード」と呼びます。
とワークブックでは紹介されています。認知行動療法の自動思考、気分・感情や身体反応も、このモードに含まれるようです。これだけ言われてもナンノコッチャ、と思ったのであれば次の説明でより理解できると思います。
スキーマが違えばモードも変わる(同じ状況でも人それぞれのモードになる)
このモードがどうスキーマと関わっているのかというと、「数々のスキーマがその時々の状況に応じて活性化されたとき、とあるモードになる」とうことらしいです。
というのも、その人がどのようなスキーマを持っているかによって、同じ状況においても全く違ったモードになるのです。
例えば、(これは私が勝手に作った設定ですが)
「自分の提案が上司に却下される」
という体験があったとして、
- 「愛されない・わかってもらえないスキーマ」を持つ人であれば、「どうせ自分の考えなんかわかってもらえない」と思う
- 「失敗スキーマ」を持つ人であれば、「あー自分は何をやっても失敗するな」と思う
- 「できなければ罰されるべきスキーマ」を持つ人であれば、提案が却下されたことに対して「当然の報い」として何らかの罰を自分に与える
というように、その状況に対して、どのような思い、行動、感情=モードになるのか、というのがこの「モード」という考え方だそうです。
そして上記のようにどのモードになるのかは、その人がどのスキーマを持っているのかで変わってきます。
状況に対する対応方法(コーピング)によってもモードが変わる
またスキーマだけでなく、状況に対する対応の仕方(コーピング)によってもモードが変わってくるそうです。例えば先ほどの例だと、失敗スキーマを持つ人が上司に提案が却下された時に、スキーマに「服従」すれば先ほどのように「自分は何をやっても失敗する」と思うでしょうが、その「スキーマを回避」という選択をした場合、やけ酒を飲むなどしてその心の痛みを感じないようにする、そういった対応方法もあります。
このように同じ状況、同じスキーマでも取るべき対応によってモードが変わってくる、と考えます。ヤング先生はスキーマに対して「服従」「回避」「過剰補償」の3つの対応方法(コーピング)があると言っているようです。
ですが、ワークブックの説明によると、とにかく「スキーマに対する対応の仕方によってモードが変わってくる」ことをまずは理解すれば十分のようです。
スキーマモードには4種類ある
そしてこのスキーマモードですが、ヤング先生は以下の4つに分類しています。
- 傷ついた子供モード
- 傷つける大人モード
- いただけない対処モード
- ヘルシーモード
この4つのモードを軸にして、
モードアプローチでは、何らかの早期不適応的スキーマが活性化され、自分がある状態に陥っているとき、それがどのモードにであるかに気づき、適切な対応をして自分を助ける、ということを行う
のようです。
さらにワークブックでは各モードについての説明と、どのような状態なのか様々な状態がリストアップされていますが、量が多いのでここでは一部を紹介します。
モードの名前 モードの説明 状態 傷ついた子どもモード 自分の中の「小さな子供」の部分が、なんらかの理由で傷ついているモード 悲しんでる、起こってる、怯えている等 傷つける大人モード これまで自分を傷つけた大人(親、親戚、教師など)の声がモードとなったもの 理不尽に叱る、罰を与える、脅そうとしてくる等 いただけない対処モード 対処方法が自分を助けることになっていないモード 先延ばし、お酒に走る、過食、自傷行為 ヘルシーモード 自分をひたすら幸せにしてくれるモード 喜んでいる、安心している、楽しんでいる
ヘルシーモード以外の3つのモードに関しては、自分をハッピーにはしないため何らかの対応が必要のようです。また、ヘルシーモードは幸せな子供モードとヘルシーな大人モードと2つ分けられるようです。
特にヘルシーな大人モードは
あなたの中の「ヘルシーな大人」の部分が、物事や他人の言動や自らの反応をマインドフルに受け止め、落ち着いて対処している状態のこと
と説明されています。またこのヘルシーの大人モードがモードアプローチの鍵を握るようで、レッスン18でより詳しく取り扱うようです。
モードマップを描く
レッスン13のワークでは、自分がどのようなモードに陥っているのか/陥りやすいか、「マップ」という形で書き出すワークが課されました。これまでのワークと同じように、マップの書き方については割と自由に書けるようで、多くのマップ例を基にこんな風に書けばいいよーと示されています。
私の場合、自分がいつも似たパターンに陥っている、というのは薄々気づいていましたし、年表でも書き出していたので、それを振り返ってそれぞれのモードに当てはめて考えてみました。
幾つかモードマップを作成したのですが、1つ紹介すると、
のようなモードマップを描きました。前回紹介したように、私の場合第四領域が壊滅状態のため、とくに傷ついた子供モードと傷つける大人モードが出てくることが多いです。
そしてだいたいが傷つける大人が子どもを「責める、叱責する」といった構図になりやすいです。
モードマップを描いてみて
実際にモードマップを描いてみて、確かにモードアプローチの方がその時々自分がどのようなモードになってるかわかりやすいと感じました。早期不適応的スキーマを基にすると、18種類もあるし、場合によっては複数のスキーマが関与しているかも、と思うときもあるので、このモードという考え方の方が状況をうまく整理しやすいなと感じます。
また、これまでのワークもそうですが、このモードマップについても、ストレス体験に気づいたときはすかさずこのマップを参照して自分が今どのモードなのか確認する、新たなモードに気づいたらマップを追加する、と日常的に気づいたら追加していくようです。
モードマップ普段持ち歩くように、ということですので、スマフォに取り込んで常時見れるようにしておこうと思います。
(注:この持ち歩く、マップを付け足すのはレッスン最後のホームワークに書いてあったのですが、今までちゃんと見てなかったです汗)
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