前回に引き続き自分でできるスキーマ療法ワークブックについて、今回はレッスン5・6についてです。
レッスン5はマインドフルネス、レッスン6はコーピングについてです。
マインドフルネスにストレス体験を受け止める
マインドフルネスとは、本書の説明を借りますと、
自らの体験(自分自信を取り巻く環境や自分自身の反応)に、リアルタイムで気づきを向け、受け止め、味わい、手放すこと
ということです。このマインドフルネス、最近では企業からも注目されており、Googleアメリカ本社でも取り入れられているようです。
認知行動療法においては、ストレス体験から生じるストレス反応を4つのカテゴリー、認知、気分・感情、身体反応、行動に分けて、モニタリングを学びましたが、マインドフルネスにおいては、ストレス反応を分類する必要はなく、ただその体験に気づき、感じる・受け止める、ということをワークを通して体験します。
私の場合、スキーマ療法に出会う前に、マインドフルネスも試しており、ボディスキャンなど幾つかのワークは行っていました。特にボディスキャンはお気に入りで、朝目覚めた後に行っています。何となく心が無の状態になるのが好きです。
しかし、本書では全部で14ものワークが紹介されており、非常に数が多いです。全てをやり切るというよりも、試してみて、しっくりくるものを選んで継続して使っていけばいいのではと思います。実際に著者も「使い心地のよかったワークを2つ3つ絞り込み、それらを日常的に使ってみてもらうのがいい」と言われています。
ストレスを感じた時に意識してマインドフルネスを実践してみたいと思います。
コーピングとコーピングレパートリーの作成について
レッスン6のコーピングのパートでは、自らのコーピングレパートリーを書き出します。まずコーピングとはまたまた本書の言葉を借りると、
ストレス体験に対する意図的な対処、言い換えればストレス体験に対する「自分助け」
です。
また本書では認知行動療法の手順を
ステップ1:認知行動療法のモデルを使ってストレス体験を観察し、理解する
ステップ2:認知と行動のコーピングによって、自分を助ける
という2つのステップに分けており、コーピングはこのステップ2に該当するものとして紹介されています。前回も書きましたが、私は認知行動療法で自動思考と理性的思考を書き出すことはやっていたのですが、そのワークはこの自分助けのステップ2に属するようです。
また、このコーピングはどんなに「しょぼいもの」でもいいからたくさん持っているとよい、という考え方があるようで、自分のコーピング集のことを「コーピングレパートリー」と呼ぶようです。
私はこの「コーピング」については知らなかったので、新鮮な気持ちで取り組めました。
望ましいコーピングを作るための判定方法が面白い
そして本書ではコーピングを2つの視点から判定してよりよいコーピングを探っていきます。
- コーピングの効果の程度(短期的/長期的)
- コーピングのコスト(時間、お金、健康、副作用、対人関係への影響)
上記2つの視点で実施したコーピングを検証することで、自分にとってよりよいコーピングを貯めることができるようです。
コーピングはストレス体験から自分を助けるために取る行動のため、リストカットや自殺も含まれます。私が読んでいてすごいなぁと思ったのは、こういった望ましくないコーピングに対しても十分に取り上げて、コストという面で見合わないこと、自殺はコーピング最終手段として取っておこう、と指南している点です。
私はリストカット、自殺を考えるほど追い込まれたうつ症状ではありませんが、そこまで書くんだ!と感動してしまいました。また、私は合理的に考えるのが好きなので、コーピングに対しても、効果やコストという面から合理的に考えればよい、というのはとても腑に落ちる考え方でした。
レッスン6のワークでは、認知と行動にそれぞれ分けて、思いつく限りのコーピングレパートリーを書き連ねるのですが、書き出してみると「コーピング」と自分では意識せずに既に多くのコーピング(自分としてはストレス発散方法)を持っていました。
少し紹介しますと、
モーニングページ(朝の起きがけにただ思いついたことをノートに書いていく手法)、ジムで汗を流す、気分がノる音楽を聴く、ピアノを弾く、海の画像を見る、波の音を聴く、コーヒーを飲む、などです。
ただ、「多ければ多いほどいい」ということは知らなかったので、これからもどんどん増やしていきたいと思います。
コーピングレパートリーを持ち歩き、レパートリーを増やしていく
ワークで書き出したコーピングレパートリーは、スマフォなどに登録しておき、外出先等でもすぐに見れる状態にしておくことで、ストレスを感じた時にすぐにコーピングを試してみる。
そしてコーピングを繰り返すことで、自分助けという意識が自分の中に根付き、新たなコーピングにも気づいていくようです。新たなコーピングで「これ使える!」と思ったものはすぐにコーピングレパートリーに追加して、どんどんレパートリーを充実していくといいようです。
また本書ではコーピングレパートリーについて誰かと話してみることも勧められています。「コーピング」が何かを知ってる人でないと話しづらいですが、知っている人同士であればよりコーピングレパートリーが広がりそうで楽しそうだと感じました。
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